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こころの風邪』と言われ現代病となりつつあるうつ病ですが、『うつ病』と一言で言っても、色々な種類があることをみなさんご存じでしょうか。

今回は、最近よく耳にすることが多い『新型うつ病』についてご説明します。

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新型うつ病と従来型うつ病の共通点

まずは、新型うつ病と従来型 (メランコリー=親和型) うつ病の共通症状を紹介します。

・意欲が出ない
・心から喜べない、心から笑えない
・睡眠障害になる
・朝起きられない
・心身とも疲労感が強くなり、体が鉛のように重く感じる
・集中力や思考力が極端に低下する
・自殺を考え、死ぬことへの恐怖を感じるなど死について何度も考える

どちらも『うつ病』のカテゴリにある病気ですから、同じ症状がかなり見受けられます。では、新型うつ病特有の症状には、どのようなものがあるのでしょうか?

新型うつ病の症状

【気分反応性】
ささいなことでも気にして気分が沈みイライラするが、自分が楽しいと思うこと、興味のあることや趣味に対しては非常に気分が良くなり活発になるなど、1日のうちに気分が激しく変動することがある
【過眠症状】
昼間遅くまで眠っていて夜間目覚めている昼夜逆転状態や、1日に10時間以上眠ることがある
【鉛様まひ】
重りがついたように体が重く、ぐったりするほどの倦怠感があらわれ、寝床から起き上がれないことが多々ある
【拒絶過敏性】
周りの人からどう見られているかなど、他人からの評価が気になって不安で仕方がなく、また相手の言動に対して過敏に「拒絶された」と強く反応してしまう
【過食】
食欲が増し、短期間で急に体重が増加する

※上記に挙げた症状は代表的な例です。病気には個人差があり、すべての症状があらわれる訳ではありません。

新型うつ病と従来型の違い

ここで、従来 (メランコリー=親和) 型うつ病と新型うつ病との違いを比較してみましょう。

内面

・従来型うつ病患者が中高年層に多いのに対し、新型うつ病患者は若者層に起こりやすく、特に20~30代の若い女性に多くみられる

・従来型うつ病患者は仕事に熱心で誠実、責任感があるが、新型うつ病患者は責任ある仕事や役回りにつきたがらない

・従来型うつ病患者は、何か問題が起きると「自分のせいだ」「自分に問題がある」と自己を責めるのに対し、新型うつ病患者は問題が起きても「自分は悪くない」と他者のせいにする

・従来型うつ病患者は、うつ病になった原因も「自分がいたらなかった」「自己管理が出来ていなかった」と自責の念に駆られるが、新型うつ病患者は、うつ病になった原因を家庭環境や職場環境など周囲のせいにしてしまう

発症時の違い

・従来型うつ病患者は、発症すると心も体も疲れて何もできなくなってしまうが、新型うつ病患者は、発症しても楽しいと思うこと、興味があることや趣味などには快活である

・従来型うつ病患者は、発症すると常に気分が沈んでいるが、新型うつ病患者は、仕事や人間関係など嫌な思いをした時に症状が出るが、自分の好きなことをする時には症状が出ないなど、気分に波がある

・従来型うつ病患者は、自分がうつ病であることを隠そうとするが、新型うつ病患者は、自分がうつ病であることを公言し強く主張する、病気を理由に嫌なことから逃げるなど、疾病利得(疾患によって得る心理的・社会的・経済的利益)を得ようとする

・従来型うつ病患者は、食欲がなくなり不眠症になることが多いが、新型うつ病患者は過食や過眠になることが多い

 

このように、新型うつ病は一日を通しての気分の変動や、食欲・睡眠の部分で大きな違いがあらわれています。

共通症状を見ると、一見似たような病気と思えますが、実は真逆と言っても過言ではないほど、従来型うつ病と違う症状があらわれるのが、新型うつ病の特徴なのです。

【甘えとは違う】新型うつ病になりやすい人

次に、新型うつ病によくみられる性格的・環境的特徴を見ていきます。

  1. 幼いころから手がかからず、成績も優秀で『良い子』と扱われてきた
  2. 児童期や思春期に親を亡くすといった、早期の喪失や離別を体験している
  3. 子どものころに虐待された、あるいは養育者から充分に愛情を注がれなかった体験がある
  4. 幼少期や思春期に、周囲の人の体験に怖い思いをしたことがある
    (例:教室で別の子どもが叱られているのを見て怖かった、電車の中で喧嘩をしている人を見て恐怖や不安を覚えたなど)
  5. 職場での評価が高いが、注意されることや些細な失敗などに大きなストレスを感じる
  6. 対人関係では、他人の言葉に敏感に反応し、必要以上に気を使い顔色をうかがうなど、人から嫌われることを恐れて自己主張が出来ない
  7. 感情の起伏が激しい

これらが主な性格として挙げられます。

 

自己主張を控え、自分を抑えて人に尽くすなど、基本的に人から嫌われたり批判されたりするのを極度に恐れるのが、新型うつ病なりやすい人に見られる特徴と言えます。

しかし、蓄積されたストレスがきっかけとなり、やがて新型うつ病を発症してしまうことが多くあるのです。

新型うつ病の原因

続いて、新型うつ病の原因を探っていきましょう。

まずはメカニズムですが、『従来のうつ病について、まだ解明されておらず脳内でどのようなことが起こっているのか、少しずつ明らかになり始めたところである』ことは、前述しました。

脳内にある神経伝達物質(主なものにセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン、アセチルコリンなど)の運動能力の変化が関係していることが明らかになってきた、といった内容です。

こちらの記事の中盤に書いてあります。
【あなたは大丈夫?多忙な仕事〜「うつ病の症状」発症まで【実体験】

 

新型うつ病も同様に、原因やメカニズムが明確に解明されてはいませんが、『MAOI』とよばれる【モノアミン酸化酵素阻害剤】が症状を劇的に緩和することから、セロトニンやノルアドレナリン系の異常であることが判明しています

また、新型うつ病の症状である眠気や倦怠感を改善する薬が、ドーパミンに作用するものであることが多いため、ドーパミン異常が推測されています。

 

さらに、パニック発作と併発する新型うつ病ではセロトニンの働きが高まるという報告がなされており、逆にパニック発作がない新型うつ病では、アセチルコリン受容体が過敏になっていることが解ってきました

新型うつ病患者との接し方

最後に、新型うつ病患者へは、どのように接すれば良いのかを考えていきます。

新型うつ病特有の症状【気分反応性】を理解する

この気分反応性は、自分自身で意識して行動しているのではなく、病気の症状として出現しているため制御不能な気分の波です。

 

「仕事に行きたくないから落ち込んでしまおう」

と考えた上で落ち込むのなら、それは確かに甘えですが、そうではなく「仕事に行かなければいけない」と頭では分かっていて、行こうとはするけれど大きな落ち込みが勝手にやってくるのです。

ですから、「甘えていないで出勤しなさい」「怠けていないで、きちんと家事をしてほしい」などとは、決して口にしないよう心掛けて下さい。

新型うつ病特有の症状【拒絶過敏性】に柔軟に対応する

例えば、「もう夕方だよ。起きるのが遅かったね。明日は早く起きられるよう頑張ろう」と軽くアドバイスしたつもりでも、「ダメ人間だとバカにされた!」と過剰に悪い方向に捉えてしまうことがあります。

その場合は、悪意はないという事実を冷静に淡々と伝え、そのように悪く考えてしまうのは病気の症状ではないか、と伝えてください。

 

それでも納得してもらえなければ深追いはしないでください。話に決着がつかず長引くと、お互いにですが段々イライラしてしまい、病状に悪影響を及ぼします。

「自分は本当に悪い意味で言ったつもりはない。今日はこれ以上話しても、喧嘩になってしまうから一旦この話は終ろう」と、話を終わらせてしまうことが良い方法だと思います。

適度な負荷を与える

新型うつ病の場合は、適度なプレッシャーをあたえられると治りが良いことが経験的に知られています。

そのため時には、「この仕事を最後までやってみよう」「この料理を作ってみよう」と厳しさを持って適度な負荷を与えることも時には重要です。

生活リズムを正す手助けをする

新型うつ病の場合【過眠症状】があらわれるため、生活のリズムが乱れる傾向にあります。生活リズムの乱れは症状を悪化させるため、改善することが重要です。

患者と同居している方は、午前中に起きられるよう声をかけてあげるなど、生活リズムが改善されるための手助けをしてあげてください。

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新型うつ病まとめ

こうしてみていくと、新型うつ病は「病気と判断がつきにくく、患者にとっても周囲の人間にとっても厄介な病気である」ことがわかりました。

新型うつ病は、その症状から仮病と捉えられがちですが、怠けている訳でも元々の性格に問題があるのではなく、れっきとした病気であることは間違いありません。

 

当然、うつ病の症状が苦しいのは事実であり、本人も必死で耐えているのです。「甘えている」「怠けている」と捉えずに「病気なのだから」と理解し、治療のサポートを心がけてください

by CELICA