Wooris_143604_1

みなさんは『仮面うつ病』という病名を聞いたことがありますか?

うつ病には『大うつ病性障害(大うつ病=一般的なうつ病)』、『双極性障害』、
『非定型うつ病』、『マリッジブルー(婚前うつ)』、『気分変調性障害』などが挙げられますが
『仮面うつ病』は1950年代に提唱された基本的な概念です。

うつ病の中でも「一番見つけにくいうつ病」と言われている「仮面うつ」に迫ります。

sponsoredlink

『仮面うつ病』とは、どんな病気なのか?

悲哀・憂うつが存在しないか、または見落とされるくらいわずかであるのに反して、他の症状などが顕著かつ支配的であるため、診断を著しく困難にしているうつ病またはうつ状態のことです。

症状をみましょう。

症状で身体的なもの

倦怠感、睡眠障害、食欲減退、頭痛、微熱、肩こり、背部痛、腰痛、口渇、腹部不快感、便秘、下痢、動悸、胸部圧迫痛、腹部圧迫感、呼吸困難、頻尿、性欲減退、月経不順、めまい、視覚異常、耳鳴りなどの聴覚異常、ほてり、手足のしびれ、など。

症状で精神的なもの

強迫症状、心気症、不安、離人症、記銘力減弱(新しく体験したことを覚えておくことができなくなる状態)など。

上の説明は、精神科医で東京慈恵会医科大学名誉教授の新福 尚武氏が定義したものに微修正を加えたものです。

 

『仮面うつ病』は他のうつ病と違い、患者自身に精神的負荷の自覚がなく、それよりも身体症状が目立つため、一見してうつ病であると判断がつきにくいのが特徴です。

 

しかし、『仮面うつ病』の本質は一般的なうつ病とほとんど同じで、「うつ病が他の病気の仮面をかぶっていて、うつ病本来の症状が見えにくくなっているうつ病」と言えます。

これが『仮面うつ病』が「一番見つけにくいうつ病」と言われる所以です。

 

診断までには消去法で進められることが多く、例えば腹部不快感や下痢が続いて内科や消化器科を受診し、検査を重ねても薬を処方されても異常がなく、症状が良くならない・薬が効かないといった状況になってようやく『仮面うつ病』だった、と分かることが多いのです。

『仮面うつ病』と『一般的なうつ病』の違い

『仮面うつ病』は、精神症状がなく身体症状だけがあらわれ、様々な検査をしても原因が見つからず、その症状に対しての処方薬を服用しても効果があらわれないのに、抗うつ薬により症状が改善されることから、本質的な部分は『一般的なうつ病』と同じであると考えられます。

『仮面うつ病』の原因とは?

『仮面うつ病』のメカニズムはすなわち、『一般的なうつ病』のメカニズムですが、いまだ解明はされていません。

前述した内容ですが、仮説のメカニズムをおさらいしておきましょう。

メカニズム

特定の原因があって発症するものではなく、脳内にある神経伝達物質(=化学物質)の働きが関係していると推測されています。

うつ病にとって、重要な働きをしているといわれている神経伝達物質である、モノアミンが減少することで引き起こされる、という説(モノアミン仮説)もあります。

逆に、モノアミンが減ることでうつ病になるのではなく、情報の受け皿であるモノアミン受容体が増えることによってうつ病になる、という説(モノアミン受容体仮説)も唱えられています。

『仮面うつ病』になりやすいタイプとは?

一般的なうつ病と同様に次のような性格の人が『仮面うつ病』に罹患しやすいといわれています。

  • 神経質で几帳面
  • 道徳的で常識的、ルールを固持する
  • 仕事熱心で責任感が強く、仕事を人に任せられない
  • 仕事や家事など、徹底して行わないと気が済まない完璧主義
  • 「自分さえ我慢すればよい」と良く思い、感情を自分の中で押し殺してしまう
  • 人から嫌われることを恐れて自己主張せず、人に頼まれると断れない
  • 他人からの評価が常に気になり、時に被害妄想的な受け止め方をしてしまう
  • 頑固で融通が利かず、臨機応変に対応が出来ない

そして、このような性格の人は、全般的に自分に厳しい人が多いのです。

 

そのため自分自身が、意欲がわかないことや集中できないこと、落ち込むことや精神的疲労を感じるなど、神経が衰弱している状況や精神的弱さをさらけ出すことに耐えられず、行き場を失ったストレスが身体症状へと変わってあらわれるのです。

うつ病と認めることよりも、身体症状として表に出すことを無意識に選択しているのです。

 

その結果、『仮面うつ病』を発症してしまうのです。

また、遺伝や体質が引き起こすと考えられている『内因性うつ病』との因果関係も否定はできない、との意見もあります。

『仮面うつ病』の治療法とは?

まずは、きっかけとなった出来事や環境などを探り、改善することから始めます。その状況に耐えられずからだが悲鳴をあげたのですから、同じ状況のままではいつまでも良くはなりません。

ですので、状況を変えられない場合にはカウンセリングを受けるなど、他の治療方法を検討しましょう。

『うつ病』は「こころの風邪」と言われる病気からも分かるとおり、休養をとることが第一です。肉体的に休むのは勿論ですが、「心」しいては「脳」を休ませるような休息をとることが重要です。

あくまでも『うつ病』は脳内異常が原因の、脳内疾患であることを忘れないでください。

医師と話す

そして、高熱が出たときに解熱剤を服用するのと同様に、自分に合った抗うつ薬を処方してもらい、指示通りにきちんと服用することの治療法の一つです。

「だいぶ体調が良くなった」「もう完治した」と勝手に自己判断せず、必ず医師と相談して減薬などのステップへ進むようにしましょう。

 

認知行動療法やカウンセリングなどを受けるなど、自分に無理のない治療法を見つけ、根気よく続けることが寛解への道のりです。

全ての治療法の大前提は「(仮面)うつ病であることを認知し、受け入れる」ことです。

『仮面うつ病』の人への接し方

基本的には『一般的なうつ病』の人への接し方と同じです。

 

「甘えている」「怠けるな」「もっと頑張れ」などと言った言葉は控え、病気や病状について問い詰めるようなことは避け、『仮面うつ病』に対する理解を深めることから始めてください。

一般的なうつ病との相違点は、「本人が身体症状を気にする」ことです。

 

『仮面うつ病』の場合はそもそも精神的負荷を本人が自覚していないので、なかなか身体症状との結びつきが出来ません。

『仮面うつ病』のせいで「お腹が痛い」などの症状があるのにも拘らず、本人はその症状をいつも訴えるため、何の解決にもならないのに、と疑問に思い不愉快になることも時にはあるかもしれません。

 

しかし、そういった思考自体が病気からくるものだと割り切って受け止め、態度や言動をあまり深刻に受け止めず、許す限り本人の話に耳を傾けてあげてください。

Sponsored Link

仮面うつ病まとめ

ここまでまとめてみて感じたことは、「『仮面うつ病』はそう診断されるまでが一つの闘いだ」ということです。

 

筆者自身はうつ病で、そう診断が下るまで15カ月かかりましたが、精神的な病気ではないかということには早くから勘付いていましたし、医師もそのような薬を処方してくれましたから、症状はある程度軽減できていました。

この『仮面うつ病』は、病名に到達することすら容易ではなく、また患者さんにとっては寝耳に水のような話になりますから、病気を受け入れることは大変な努力が必要なのではないかと思います。

 

あの頃の旦那さん、あの時の娘さんとは違っていて、周りの方たちも戸惑ったり、受け入れることに努力をしたりと、大変な苦労があるかと思いますが、患者さん本人は、そこにたどり着くまで、健康な人の想像を超えるほどの悲しみや憤りがあったことを、頭の片隅においてください。

 

『仮面うつ病』と診断されたことがスタート地点なのです。

そして、決して焦らずに、一歩ずつゆっくりと、でも着実に、完治への道を一緒に歩んでいってください。すぐそばに誰かがいてくれること。それだけで、今日一日救われる。by CELICA